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なぜかパリの空の下

国際関係の修士を取ろうと思い立ち、気が付いたらパリにいました。

パリのオープンカフェ。テラス席に逆風? 規制強化と増税。

パリといえば、歩道にはみだしたカフェでパリジェンヌたちがおしゃべりをしている、そんなにぎやかなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

 

実際にパリにきてみても、やはりカフェのある街並みはにぎやかで華やか。

 

加えて、パリ市民のテラス席への情熱は尋常でなく、

いくら寒くてもテラス席に座りたい。

 

カフェのおじさんも、どれだけ屋内がガラガラであろうと、「お、君、ラッキーだな、テラス席があと1席残っているよ!さあ座りな!」と有無をいわせずテラス席をあてがってくる。テラス席<屋内という考えは毛頭ない様子。

冬になるとそのままガラスやビニールシートの囲いができて、ヒーターであたためてまでテラス席は存続します。パリ市民のテラス愛おそるべし。

 

そして、翻って日本でも、国交省がにぎわい創出のために道路占有許可の特例制度をつくっていたり(2011年の都市再生特別措置法の一部改正)、それを受けて東京都でも「東京シャンゼリゼプロジェクト」が2014年から施行されていたり。その結果、一定の条件を満たせばオープンカフェが設置できるようになって、例えば港区の新虎通りなんかでお目見えしています。これらが、パリのにぎわいを念頭においていることは想像に難くありません。(なんていったって、ネーミングからして「シャンゼリゼ」ですしね)

 

ということで、世の流れは

 

目指せ、パリ!どんどん歩道にしみだして、にぎやかにしていこう!!

 

というふうに理解をしていました。

 

が、ところがどっこい、

当のパリでは、テラス席に対する規制強化と増税という、むしろ逆風がふいているようなのです。

 

構図としてはパリ市vs街中のカフェやレストラン。パリ市はテラス席がパリのイメージ向上に寄与していることは重々承知していて、そして市職員たちも日々テラス席は愛用しているでしょうから、撤廃しようなんてことはもちろん考えていない。

 

ただ、テラス席のしみだしっぷりが度を越しているという現状と、おいしい財源として味をしめているということのようです。

 

事の発端は、2011年のオープンテラスに関する条例の改正で、趣旨としては

・冬場出現する、見てくれの悪いビニールシートの囲いを禁止(近隣住民の騒音被害対策もあり、一部地域でしか許されていなかったガラスの囲い禁止を撤廃)

・快適な公共空間の創出のために現行の1.6mルールを徹底すること(0.6mのテラス席スペースと1.6mの歩行者スペースを確保することが必須)

・環境問題となっていた、これまた冬場のガスヒーターの利用禁止(電気ヒーターへの変更)

・そして、財源の確保

ということだったようです。ただ、このしみだし過ぎないというルールはその後もあまり守られず、ル・パリジャン(ル・モンドなどの高級紙と比べると大衆向けですが、名前の通りパリと近郊の情報が豊富な新聞)の昨夏(9月9日付)の記事では、パリ市の報告書を引用する形で、しみだしたいカフェ側ときっちり取り締まりたい市側の攻防を紹介しています。さらに、2017年にはテラス席設置にかかる税金が2%上がることが決まっているそうです。

 

Le Parisien 2016年9月9日付

《Paris : les terrasses des cafés dépassent les bornes》

http://www.leparisien.fr/paris-75005/paris-les-terrasses-des-cafes-depassent-les-bornes-08-09-2016-6105057.php

 

たしかに、そこもう歩道ですらなく道路じゃない?というところまで出てきちゃってるテラス席、よく見かけますものね。。

 

ただ、カフェ側からしたら商売あがったりだ、と不満が募っており、更なる増税に溝は深まるばかり。

昨日(1月10日付)の同じくル・パリジャンには「Les terrasses croulent sous les taxes」 (「テラス席は税金の前に崩れ去る」という感じでしょうか…?フランス語ってむずかしい…)という見出しで、市は財源がほしいだけ、というカフェ側からの反論が紹介されていました。

 

Le Parisien 2017年1月10日付

《Paris : les terrasses croulent sous les taxes》

http://www.leparisien.fr/paris-75005/les-terrasses-parisiennes-croulent-sous-les-taxes-09-01-2017-6544854.php

 

現に市内2万か所以上のテラス席から年間5000万ユーロ(60億円!?)に近い税収入を得ているそうなので(条例改正前の2010年度は3000万ユーロ)、それは手放したくないでしょうし、今回の更なる増税は、ルール順守のインセンティブになるという反面、もちろん税収入UPも喜ばしいに違いありません。

 

ちなみに、パリ市HPのシミュレーションでは、1m×1mのテラススペースは年間で€1500(20万円弱)近くかかるとのこと。加えて暖房機器や囲いも別途課税対象となっていて、結構お金がかかるんですね。

 

要はやりすぎはいけない、ということなんでしょうが、はて、この攻防どうなることやら、テラス席は逆風にめげず、今後とも歩道にしみだしつづけるのか、引き続き注目していきたいと思います。